築地6丁目ホテル
SPATIUM GINZA Ⅱ
Year: 2021
Site: Tokyo
Building Type: Hotel
Collaboration: Akane Sano / Sano Design Office
Kyoko Maru / Kyoko Maru Architect and Associates
Photo: Takumi Ota
東京都心に建つ小規模ホテルの建築及びインテリアデザインの計画。ホテルは5階建てで、12室のゲストルーム、及び1階のロビー兼カフェ、ギャラリーから構成される。
敷地のある築地は、江戸時代その大半が武家地であったことより、今尚伝統的な木造の町屋や屈曲した路地のこり、現代的なオフィスや住宅に混在する。また明治期に入ると港町として異文化を受け入れる玄関口として発展してきたことから、築地本願寺などの折衷様式の建築も多くみられる。当計画においては、このような新旧や多様な文化が混在する築地のコンテクストを最大限に活かすことを意図した。
建物のボリュームは、経済性や合理性を考慮し、敷地形状いっぱいに高さを持たせたシンプルなRC壁構造とし、敷地奥に現存する路地空間を建物内に挿入する構成とした。これにより、奥行きのある敷地形状に対し、内部にも光や風が通り抜ける空間を実現している。
また、ファサードは現代的なブリックを使用しつつ、伝統的な町屋でみられる簾や格子戸などの幾何学模様をデザインモチーフとすることで、周辺の街並みに溶け込みながらも端正で現代性も兼ね備えたデザインを目指した。また、これらのブリックは室内側からは簾や格子戸と同様、光や風を透過する目隠しとしても機能する。
これらのデザインにより、ホテルに滞在することで、この地の潜在性を無意識に体感できるような空間を創出することを目指した。滞在者に、東京の現代的な側面だけでなく、歴史的・伝統的な側面も同時に楽しんでいただきたい。